実は身近な心理学2「固定的行動パターン」
人間も他の動物も、全てが無意識の行動をしていることを知っていますか?
しかも、その無意識の行動をさせられてしまう「スイッチ」があることが
分かっています。
動物も、僕達人間もこのスイッチによって、無意識に行動させられている事があります。
これを『固定的行動パターン』と呼び、ある一定の条件を満たされると「あるスイッチを押されると」、
人はそれに動かされてしまうことを言います。
心理学者ロバート・B・チャルディーニによって名付けられた、
人間の心理的法則から生まれた造語です。
『友達といて無意識にその人の言うことを聞いていた・・・』
『後で思えば、肉を食べに行ったのに魚料理を頼んで食べてきた・・・』
『今さほど必要でもないのに、何故か◯◯を買ってきちゃった・・・』とか、
最終的には、自分の意志で行動をしたと思っていますよね?
相手に『無意識レベル』を誘導されて動かされるので、最後まで『動かされていた』ことに気づくことすらできないのです。
人間行動の約8割以上が、この無意識の行動といわれています。
では、無意識の領域で動かされているとはどういうことでしょうか。
鳥の子育て行動の実験があります。
母鳥が自分の子供に餌を運んだり、守ったり温めたりする行動は、ヒナの鳴き声と言うことが実験で分かっています。もっと言うと、ヒナの鳴き声を聞くことで子育てという『固定的行動パターン』をしています。
ですので、母鳥は、ヒナたちが鳴かないと、餌も運ばす、全くヒナに関心を示さなくなるそうです。
ちょっと意地の悪い実験のように思いますが、有名な実験で天敵のイタチのはく製に、ヒナの鳴き声を出すように仕掛けをして、母鳥に近づけるという有名な実験があります。
これで母鳥は、イタチの剥製を自分の羽根の中に入れて子育て同様の行動をしました。 ちなみに、ヒナの鳴き声を止めると攻撃をしかけるんです。
さて、今度は人間です。
人間は行動する際『理由を欲しがる生き物』と言われています。
本来したくない行動には「理由」が必要なんですね、逆に言うと
したくもない行動なのに、「理由」を付けられると、ほとんどの人が行動させられる。
ということです。
では、人間にした有名な実験です。
まず、コピー機の前にいる人に対して、
ただ単に『先にコピー機を使わせてください』と言っても、
ほとんどの場合断られてしまうことでしょう。
『すみません・・・5枚だけなんですが、
先にコピーをとらせてとらせてくれませんか?待たせちゃってるので』
と頼んだ結果、
94%もの人が先を譲ってくれたそうです。
次に、
『すみません・・・5枚だけなんですけど、
先にコピーをとらせてくれませんか?』
と頼んだ結果、
譲ってくれた人は60%に激減したそうです。
5枚だけは、理由にならなかったのでしょうか?
急いでいるという理由を言わなかったからでしょうか?
更に、
『すみません・・・
先にコピーをとらせてくれませんか?コピーをとらなければいけないので』
と頼んでみた結果、
なんと93%もの人が先を譲ってくれたそうです。
「5枚だけ」も
「急いでる」もありません。
ちなみに、よく考えれば、
どちらも、先を譲る理由になっていませんよね(笑)
もっと言えば、
「コピーをとらなければいけないので」
これ、先にコピーをする理由になってませんよね???
93%もの人が先を譲ってくれたという実験によって実証された事実が、
人間の固定的動作パターンの一つを証明してみせました。
実は、「〜ので」という言葉が理由づけになっていることが分かりました。
「ので~」が、無意識のうちに固定的動作パターンのスイッチになっています。
「ので」と言う言葉に反応して、9割以上の人が、
『何か理由があるんだな』と無意識に反応させられたということです。 このたった一言「ので」で動かなかった34%の人達も、動かされてしまったということです。
心理学を勉強していくと、このようなことを簡単にできるようになります。
相手の無意識の領域に問いかけて行動をさせる。ということです。
振り込め詐欺は、この固定行動パターンの応用です。
どんなに今使っている「言葉じり」だけを公表して注意を呼びかけても、
心理学を使って言葉を変えれば、人を動かしてしまいます。
少し、心理学を広げて、そういう悪い人達に騙されないようにしたいです!