実は身近な心理学6『自己コントロール』
自己コントロール
肥満、喫煙、運転中の携帯操作・・・・・・
人は現在に生きるもので、目先の誘惑に勝てない。
目先の満足に囚われて、将来の幸せを放棄してしまう習性が、
そもそも身についているそうです。
でも、現代は誘惑だらけで、今後それは更に巧妙になり拡大していくでしょう。
世の中は、あなたの時間やお金を浪費させようとしたもので溢れています。
日々、僕達を将来の幸せではなく、目先の満足へと誘惑してくるわけです。
では、多くの誘惑に勝つための、手法はなんでしょう。
代替報酬
将来の効果に対して、今から一定の行動を継続して行う。
これはとても難しいことで、モチベーションは下がります。
本来の目的や(将来の)目標とは別に、
今楽しいと思う何かと結びつけて、継続して行動させるという方法が『代替報酬』です。
その時、本来の目的である「将来の為に」という合理的理由は忘れられてもです。
気持ちが(感情的に)楽しくやれば、モチベーションを高くキープできるというわけです。
人に習慣つけられた行動はほとんど無いそうですが、
歯磨きは習慣な、少ない行動の一つです。
でも人は、将来の健康な歯を得るために習慣化していない。
もし本当にそうであれば、効果の高いフロス(糸歯ブラシ)が普及するはずで、
効果のあまりない歯磨き粉は、あまり売れないはずです。
実験からわかったことは、
人は、歯磨き粉のスッキリ感やミント味を求めて毎日葉を磨いている。
このミント味が代替報酬になっている。
ということだそうです。
もし歯磨き粉がなくて、将来の歯の健康の為に、毎日ただブラッシングしよう!
だとしたら、歯磨きは全世界で習慣化しなかったと言われています。
■実験-1
楽しみは、人の行動を変える。
運動不足解消の為、階段を使いましょう!
こんな風に張り紙をしても、将来の健康のために、
階段のすぐ隣りにあるエスカレーターを使わなくなる人は5%未満だそうです。
でも、エスカレーターの隣の階段を、ピアノの鍵盤の機能を付けたところ、
階段を使う人が66%増えた。という実験を聞いたことはありませんか?
この66%の人達は、将来の健康のためではなく、「今楽しいから階段を使いました」
でも、結果的にはすぐ隣りにある楽なエスカを使わず、階段を使ったわけです。
これが、『代替報酬』の効果の例です。
https://www.youtube.com/watch?v=sVl8KY3xMDY
実験-2
発作を抑える薬 患者は発作の辛さを知っているにもかかわらず、
その薬を常飲する患者の割合は、66%しかない。
この患者さんたちに、次の辛い発作を経験しないために、どうしたら良いでしょうか?
勿論、合理的な方法である薬の効果や、発作の危険性を医師が説明した結果が66%です。
薬を飲んだら毎日3ドルを払う
予め90日毎日薬を飲んだと想定し、270ドルを渡す。
その上で、薬を飲まないと1回につき3ドルずつ回収する。
毎日飲んだ患者には1枚宝くじを渡す(10%の確率で30ドル当たる、当選確率が高い)
予め全員に宝くじを渡して、当選者を発表する。
しかし、該当者が薬を飲んでいなかった為、当選金を渡せない事を発表する。
この実験結果は、効果が低かった順に並べました。
効果が最大だったのは、4番目で98%が薬を常飲し始めたそうです。
こでは、『代替報酬』の法則に加えて、『損失回避の法則』(失うマイナスは、得る利益の倍になる)を追加しました。
後悔・・・「本当ならこうだったのに」という感情から湧き出すもの。
満足度・・・「他にどうだったか」という比較から生まれる。
他の比較から良かったと思えば満足度が上がり
悪かったと思えば満足度は下がる、
自分の幸せの気持ちは、「現状」からやって来るのではなく、
「こうならなくて良かった」という感情から来ることがあるので、それを利用したわけです。
オデュッセウスの法則
将来の良くない行動を抑制するため、今行うこと。
それを、オデュッセウスの法則と呼んでいます。
オデュッセウスはギリシャ神話の英雄です。
セイレーンという美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難・難破させ人を食い殺す、上半身は女性で下半身は魚の姿をした海の怪物がいて。英雄オデュッセウスはセイレーンのいる海域を通る際、忠告通りに船員には蝋で耳栓をさせ、自分の体をマストに縛り付けました。
耳を塞がれた船員たちは1人だけセイレーンの歌が聞こえるオデュッセウスが暴れ出すと、歌に惑わされていると判断して船を進め、オデュッセウスが落ち着くともう安全であると判断した。歌を聞いて惑わせなかった人間はいないことを自慢に思っていた海の怪物たちは、オデュッセウスを引き込めなかったことでプライドが傷付き、海に身を投げた。という神話を元にしています。
実験-1
マシュマロテスト
これも有名な実験ですが、
マシュマロを皆に1つずつ与えます。今食べても良いけど、少し待った子は後でもっと多くのマシュマロを持ってきてもらえるよ。という実験を数名の子供たちを部屋に入れて行った実験ですが、
ここで分かったことは、我慢した子供たちは数時間後に沢山のマシュマロをもらうため、強固な精神で我慢したわけではなく、
両手を足の下に挟んで動かなくしたり、
壁に向かって座って、美味しそうに食べてしまった子たちが目に入らないようにしたり、
全く違う作業を初めたりしたそうです。
つまり、
今の欲望を消し去る何らかの行動を起こしたそうです。
また、
自己コントロールが出来た子供は、
そうでない子供より、成績が優秀であった事。
成長した後に、犯罪者になる率がそうでない子より低かったそうです。
ゲミフィケイション
(ゲームの楽しみを、他の分野に取り入れる)
人間のあらゆるモチベーションUPに使えるとして、昨今注目されている手法です。
人は、理論や合理性で行動をしないので、
感情を動かして、行動させる手法ですね。
実験―2
保険会社のプログラム例
保険会社を使った実践で、被験者はそれが実験であることを知らされていません。
商品スーパーで、健康食品を買うと、その代金の一部を返金するというプログラムです。
最初に、ヘルシーな食品を買うと20%返金する。というプログラムを説明し参加してもらいます。
そうすると、ヘルシーな食品を購入する人が増えたそうです。
次にこの参加者に追加プログラムの案内をしました。
ヘルシーな食品を今より5%増やせは20%返金するが、そうでなけれな返金しない。
どう考えても、2つめは何の追加メリットもありません。金銭的には・・・。
ところが、
3分の1の人々が、2つ目のプログラムに参加したそうです。
保険会社の用意した「健康推進の為のプログラム」は、保険会社が20%返金の出費をしてまで、自分たちの健康を考えてくれた。
との思いと、
自分が健康になる為の『代替報酬』と『オデュッセウス』の法則を同時に使った例ですね。
実験ではありませんが、
前払いのスポーツジムに申し込む。というのも
オデュッセウスの法則ですね。
最初に代金を支払っているので、行かないと損をしてしまう。
それで、自分をちゃんとジムに通わせるという訳です。
このように
人間の心理や行動心理を理解すると。
べき論や継続できない努力が、
楽しく継続できそうですね!